優れた中国伝統文化を継承し、国際コミュニケーション能力の構築を強化し、中国文明の世界的影響力を高めるという要請に対して積極的に応えるため、上海理工大学と上海市外文学会は7月18日から20日にかけ、「新グローバル化時代における中国と西洋の哲学、中国文化の海外への広がり
国際シンポジウムを開催した。今大会は上海理工大学外国語学院創立45周年を記念する最初の学術活動であり、同外国語学院が主催し、(中国)中外言語文化比較学会、上海外国語教育出版社、『中国比較文学』編集部、『上海理工大学雑誌(社会科学版))編集部が共催した。本シンポジウムは上海理工大学の開学100年にわたる歴史を基礎として、哲学、文化、文学を深く融合させた学術の饗宴であり、中国、アメリカ、イギリス、カナダなどから関連分野の専門家、学者、および教師と学生代表が100人以上一堂に会した。新たなグローバル化時代を背景に、中西文化の交流、相互参考、広まりの新たな道を共同で議論し、中国哲学の英知を広め、国際舞台における中華伝統文化の影響力と魅力を高め、新時代におけるグローバル文化の調和的共存と繁栄発展を促進することを目的としている。
シンポジウムの開幕式では、上海理工大学の張華副学長が歓迎のスピーチを行った。彼は上海理工大学の使命と特徴、特に人文科学研究分野での歴史的蓄積、近年の多様な分野における大学の急速な発展、ハイテクと人文科学研究の融合を重視している点などを紹介し、参加者が中国と西洋の文化の相互的な広まりについて深い議論ができるよう期待すると述べた。
上海外国語大学副学長で上海市外文学会会長である査明健氏は、共催者を代表してスピーチを行った。彼はこの大会の発起人であった故・成中英教授を偲び、中国と西洋の哲学的視点から、中国文化の国際的広まりの問題について論じた。査氏は、新たなグローバル化と人工知能の時代において、われわれはこれまで以上に中国の立場と世界の意識を融合させ、中外文化交流を進める必要があるとの考えを示した。
上海理工大学外国語学院院長で上海公共外交研究院常務副院長である劉芹氏は、主催者を代表してスピーチした。彼女は上海理工大学外国語学院の発展の歴史を紹介し、同学院中外文化研究所の名誉所長であった成中英教授の死去に深い哀悼の意を表し、困難を克服して前進する決意を表明した。
上海外国語教育出版社の孫玉社長、『中国比較文学』編集長の宋炳輝氏は、共催者を代表し、それぞれスピーチを行った。孫玉氏は中国と世界の文化交流の重要性を強調し、上海外国語教育出版社が中国文化等を伝える実践の面から哲学と文学の価値を探求していくと述べた。宋炳輝氏は、グローバル化の「新時代」において、中国と西洋の文化の交流、相互参考、相互伝達に関する異文化対話と国際セミナーを実施することが特に重要であるとした。この開幕式では、上海理工大学外国語学院副院長で上海市外文学会理事である張楽氏が司会を務めた。
張華氏による歓迎の辞
査明健氏による式辞
劉芹氏による式辞
孫玉氏による式辞
宋炳輝氏による式辞
開幕式で進行役を務める張楽氏
シンポジウム期間中、参加した専門家は、「中西比較哲学と中国哲学研究」、「中西対話における中国文化の独特な魅力」、「比較文学と英米文学研究」、「中国と外国の言語文化研究」、「中国伝統文化の国際化に関する研究の現状」、「中華文明の海外への広がりとその戦略に関する研究」などのテーマをめぐって、深い交流と討論を行った。多くの著名学者が素晴らしいスピーチを行い、最新の研究成果と独特の見解を披露し、中西文化の深いレベルの交流と相互参考のために貴重な思想資源を提供した。
先ごろ、本シンポジウムの発起人であり、シンポジウム主席であり、上海理工大学特聘教授、外国語学院中外文化研究所名誉所長、米国ハワイ大学終身教授、国際解釈学研究院の院士(中国で科学技術において傑出した成果を挙げた研究者・技術者に授与される称号)であった成中英教授が、惜しまれつつ逝去した。シンポジウム組織委員会は、成中英教授の令夫人である顧林玉教授の委託を受けて、開幕式後に追悼式を行うことにした。『中国哲学季刊』副編集長補佐の潘松氏が司会を務め、生前の成教授が親しかった友人や同僚が世界各地から集まり、哀悼の意を表した。武漢大学哲学学院人文社会科学の講座教授の陳波氏、北京市社会科学院国学研究センター主任の劉偉見教授、中国現代外国哲学学会名誉理事長の江怡教授が、それぞれ成中英教授の西洋哲学、中国哲学、中西比較哲学への貢献を紹介した。成中英教授と親交のあった陳衛平教授、潘徳栄教授、施永敏氏らもそれぞれ追悼スピーチを行った。
追悼式典進行役の潘松氏
陳波氏、劉偉見氏、江怡氏、陳衛平氏、潘徳栄氏、施永敏氏による追悼スピーチ
シンポジウムには15人の著名教授が基調講演者として招かれ、「文明間の相互参考」というテーマについて議論した。成中英教授夫妻は会議に先立ち、シンポジウムの特別アシスタントであるカナダ・ヨークヴィル大学Andrew Fuyarchuk教授に講演の代読を依頼していた。代読された成中英教授の基調講演は、哲学者クワインによる自然化の認識論に関する研究の最新成果であり、デカルト、カント、ガダマーらの思想との比較を行い、自然主義と『易経』の変化の哲学を現代量子力学の新解釈に適用し、過去20年間この分野で行われてきた研究を発展させた。一方、成中英教授夫人である顧林玉教授は、「現在の世界情勢に対する哲学的考察」をテーマに、東洋と西洋の伝統的な文化的障壁がいかにして共存できるかを論じた。中国社会科学院学部委員の陳衆議教授は、「枢軸時代」(カール・ヤスパースが唱えた、紀元前500年ごろの世界史における飛躍の時代)とその古代文化発展への重大な影響について詳しく説明し、黄河と長江流域、エジプト、インドの文化がすべて古代ギリシャに深遠なる影響を与えたことを指摘した。
Andrew Fuyarchuk氏が代読した成中英教授による基調講演
陳衆議氏による基調講演
(中国)中外言語文化比較学会会長の呉笛教授は、米国とドイツが共同で刊行した『中華人文古典文庫』に漢詩が収録されたことは、漢詩の国際的な広まりの輝かしい新段階を印象付ける、との認識を示した。米国ペンシルバニア大学のCarlin Romano教授は、中国と西洋の哲学の類似点と相違点を比較し、中国の学者が西洋哲学に対してよりオープンであり、東洋と西洋の哲学は互いに学びあうべきであることを認めた。陳波教授は、中国文化が現在、海外への普及とともに中国自主話語体系を構築するという二重の課題に直面しているとし、「以中釈中
(中国独自の理論的枠組みと方法論によって中国哲学や中国文化現象を説明する)というモデルに疑問を呈した。江怡教授は、西洋哲学が中国に伝わって1世紀以上になるが、中国哲学が西洋に広まった歴史はそれより長いとし、「三位一体」戦略の下に中国哲学が西方で新たな展開を遂げると予測した。上海交通大学の劉建軍特聘教授は、東西文化の衝突と交流の地であったビザンチン帝国が、文化の融合と文明の相互参考の偉大お手本となっていると指摘した。(中国)中外言語文化比較学会小説研究専門委員会会長の朱振武教授は、漢学者の翻訳理念を分析し、中国文化の「走出去
(海外に進出する意味)を最適化するための戦略を提示した。
呉笛、Carlin Romano、劉建軍、朱振武による基調講演
英国イースト・アングリア大学名誉教授Peter Kitson氏は、18世紀後半から19世紀初頭にかけて中国文化が英国文学に与えた影響と、それが英国における中国に対する文化的認識を大きく変えた点を概説した。武漢大学哲学学院副院長の李勇教授は、グローバルな正義が哲学の核心的な問題であると主張し、グローバルな正義の第三のモデルとして「天下」を提起した。香港大学講座教授のChris Fraser氏は、ここ数十年の異文化間哲学対話が哲学研究の視野を広げ、新たな哲学の方向へと導くとの認識を示した。黒龍江大学の李安沢教授は、人類文化の根源的同質性を理解し、中国文化と西洋文化の深部統合のための新視点を提供すべきだと主張した。劉偉見教授は、中国文化を海外に広めるための実践に基づき、中華文化の文明的特徴を整理した。上海理工大学外国語学院中外文化研究所所長の余錫霞教授は、儒教、道教、仏教の思想を含む唐詩『楓橋夜詩』と、英米モダニズム文学の特質を体現する中国工芸品の典型的代表作『宋磁』について論じ、輝かしい中国文化の世界的アイコンを示した。
Peter Kitson、李勇、李安沢、兪曦霞による基調講演
Chris Fraserによるオンライン基調講演
今回の大会には、多くの学術分野に属する専門家や学者が集結した。彼らの討論は、それぞれの分野における最先端の研究成果を披露しただけでなく、学術界が文明の相互参考に関する新たな視点を探り、意見を交換するための貴重な場を提供した。彼らが指摘したのは、文明の多様性が人類の歴史を表面的に豊かにするだけでなく、私たちが今日の異文化を理解し、尊重するため上で大きな意義を有するという点である。上海市外国文学学会副会長である復旦大学の盧麗安教授は、「目下の状況における中国の大学人文学科の発展方向性」と題した総括スピーチを行い、この会議の中で取り上げられた哲学、文学、歴史学の学術的価値を全面的に肯定し、学術人文の重要性を強調するとともに、多元的人文、公共的人文、積極的人文における異文化間および国家間研究を発展させることを提案した。
盧麗安による大会の総括スピーチ
グローバル化が深まりゆくのに伴い、文化の多様性と文化交流の重要性はますます顕著になっている。今回の国際シンポジウムの成功は、単に中国共産党第20回全国代表大会の精神に対して積極的に応えたのみならず、人類運命共同体の構築という理念を生き生きと実践させたものでもある。参加した専門家は、中国文化と西洋文化の対話と交流を強化することにより、各国の人々の相互理解と相互尊重を強化し、世界文化の多様性と繁栄を促進させ、人類の長期的な平和と繁栄の実現のため知恵と力を提供しうるという点を一致して認めた。上海理工大学は引き続き、開放と包容、相互学習、相互参考の精神を堅持し、国内外の学術界との交流と協力を深め、優れた中国伝統文化の国際的な広まりを共同推進し、人類運命共同体の構築に向けて文化的知恵と力を提供し、貢献していく。
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